外道武士
深夜の地下道。

昼間の喧騒が嘘のように静寂に包まれ、照明さえも殆ど消えている。

非常灯だけが辛うじて視界を確保しているといった具合。

そんな中に法外 猛流は立っていた。

黒革の外套、銀の装飾品、白鞘の日本刀を帯びた痩せた狼を彷彿とさせる男。

彼は呟く。

「斬っても斬っても…」

…目前、地下道の向こうから誰かが…いや、『何か』が歩いてきていた。

のそり、のそりと。

足を引き摺るように。

よろめくように。

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