外道武士
体勢を崩しつつ吹き飛ばされる『黒の者』。

その生じた隙に。

「おぉぉおおぁあぁあぁぁぁぁっ!」

天井を蹴り、錐揉み回転しながら高速で接近した猛流の斬撃が、『黒の者』の胴を横薙ぎに斬る!

別れを告げる上半身と下半身。

臓腑を、血液を撒き散らし、湿った音を立てて、『黒の者』の亡骸は地面に落ちる。

絶えつつある呼吸。

その呼吸に混じって。

「ヤット…ヤットシネル…ツラカッタ…ヨ…」

死を渇望していた人間の時の名残なのか。

そんな遺言を残して、亡骸は青白き炎に焼き尽くされていった。

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