外道武士
その付箋を見ながら。

「信二君の彼女?」

僕の背後から顔を覗かせたショートヘアの女性が言う。

美咲。

単身赴任先の同僚で、仕事のパートナーとして行動を共にするうちにいつしか深い仲となった。

「通い妻がいるのに、部屋に私を連れ込むんですか?」

少しおどけたように僕を見上げる美咲。

「止せよ…」

美咲を可愛いと思う反面、ここにいないこよりに罪悪感を抱いてしまう。

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