外道武士
キスをせがむ美咲をかわして、ふとテーブルの上の書き置きに目をやる。

『今日も一日お疲れ様。

お仕事は順調ですか?

最近は料理するようになったのかしら?

カレーの鍋があったね』

その書き置きに胸がチクリと痛む。

そのカレーは、先週美咲が僕の部屋に来て作ってくれたものだ…。

心の中でこよりに詫びつつ、書き置きの続きを見る。

『相変わらず信二君は野菜嫌いだねぇ。

またキャベツ刻んでタッパーに入れておいたよ。

マヨネーズかドレッシングかけて、無理してでも食べた方がいいよ?

あと、髪伸びたのかな?

そろそろ切った方がいいかもね』






書き置きのそばには、部屋の床に落ちていたのであろう、美咲の髪の毛数本が置いてあった…。




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