外道武士
「――――――――!」

これまでで一番の甲高い悲鳴が、闇の中に轟いた。

背中まで貫通する刃。

それでも力を緩める事なく、猛流は刀を鍔元まで押し込む。

青白い炎が、永久子を内から焼く。

禁忌の術を纏った刃の一撃。

『黒の者』の肉体をも確実に蝕む。

手応えを感じる猛流。

しかしそれは油断だった。

かつて永久子を調伏しようとし、片目を失った慈空と同じように。

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