外道武士
カサカサ、カサカサと。

耳を覆いたくなるような無数の足音。

床だけじゃない。

壁にも、天井にも。

そこら中を奴らが這い回っている。

足の甲にも何度も這っていく感触があった。

しまいには足を伝って体をのぼり、服の中にまで入ってくる。

首筋辺りに飛んできたゴキブリが張り付き、襟元の辺りを這う。

耳元にのぼってくる。

思わず素手で叩き潰す。

掌に残る悪臭と体液の粘着質な感覚。

ワンルームマンションの中を、泣き叫びながら逃げ回った。

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