外道武士
堪らず部屋から逃げ出す。

ベランダの外へ。

窓を閉めると、ゴキブリは流石にそこまでは追ってこなかった。

ハァハァと荒い息を吐きながら、手摺りに凭れ掛かる。

何なんだ一体…。

何でこんな事に。

怖気の走る体を震わせながら呼吸を整え、ふと階下を見て。

…戦慄した。






ワンルームマンションの下、路上を行き交う人達は、みんな俺を見ていた。





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