外道武士
何の気紛れだったのか。

突然。

その無名の視線が、アスファルトに横たわったままの女性へと移された。

無名に襲われ、気絶したままの女性。

何を思ったのか、彼女に興味を移した無名は。

「!」

大きく口を開ける!

その喉奥…高い収束音と共に小さな火種が燻り始める。

指先程度の大きさだった火種は、やがてピンポン玉、最終的には口から溢れ出すほどのサッカーボールのような大きさに。

ここまで来れば最早火種とは呼べぬ。

火球と呼ぶのが相応しかった。

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