外道武士
その火球を、女性目掛けて吐き出す!

女性と無名の距離は幾らもない。

吐き出せば即座に命中。

彼女は紅蓮の炎に包まれて焼き尽くされよう。

故に。

「ぐぅあぁぁあぁあぁあぁっ!」

彼女を護るには猛流自身が間に割って入り、身を挺して火球の盾となる他なかった。

形振り構わず、背中で火球を受ける。

『黒の者』無名の吐き出す火球だ。

並みの炎の筈がない。

猛流の身につけている黒革の服装も魔の攻撃への抵抗力は幾分あるが、まともに直撃されてどれ程耐えられるものなのか。

それでも猛流はその身を盾にした。

我が身を省みず、女性を守った。

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