外道武士
その姿を見て、猛流の内に憑依した永久子はどう思ったのか。

父親とも不仲だった為、『異性に愛される』という経験をしておらず、結果男性全てを憎悪し、呪いながら、成仏する事なく現世を彷徨っていた永久子。

その心情に変化があったのかどうかは知らぬが、その瞬間だけ。

猛流の肉体を縛っていた永久子の呪縛が解けたように、体が軽くなった。

ならば今こそ勝機。

背中をプスプスと燻らせる火球の残り火など意にも介さず、猛流は振り向き様の横薙ぎを無名の胴へと叩き込む!

悲鳴もなく、表情も変えず、ただ喀血する無名。

それでも後ろに跳躍して間合いを取ろうとするが。

「でぇえぇえぇいっ!」

すかさず猛流はアスファルトに両手をついて倒立前転、踵落としを無名の肩口に!

更にもう半回転して、刀を無名の脳天に打ち込む!

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