外道武士
「うっ…!」

思わず怯む黒鞘の外道武士。

猛流の胸には、人面疽が浮かんでいた。

苦悶に呻いている女の顔のような人面疽…。

「何という怨念…」

「あんなものをとり憑かせたまま、よくぞ正気を保っていられる…」

口々に衆目が呟く中。

「お前なら、永久子の前に5分も立っていられないさ」

浄化の終わった得物を受け取り、猛流は関所を出て行った。

< 85 / 150 >

この作品をシェア

pagetop