○○地獄

デンファレ女王は、玉座に座り今か今かと待ちました。
「道化師め、何と言うか見物だな」

デンファレ女王は、この場においても道化師を嘲笑っています。


しばらく、すると家来と道化師が遠くに見えました。
デンファレ女王は「来たな」と思い、睨みました。

家来が、道化師を前に出し歩くよう促します。

道化師は言われた通り、ゆっくりゆっくり女王へ近づきました。

女王は睨みつけたままです。

ゆっくり、ゆっくり歩く道化師は、何も考えられません。ただ、女王に向かい歩くのです。

家来も、重苦しい空気に堪え道化師に続きます。

デンファレ女王の前まで歩き、道化師は立ち止まりました。

沈黙が続きます。

家来は少し焦りました。
「早く謝罪を述べよ」

道化師に耳打ちしましたが、反応がありません。
ただ、ぼーっとしているのです。
家来は慌てて女王に言いました。
「デ、デンファレ女王！申し訳ございません。どうやら、死刑の事しか考えられない様子です」

しかし、デンファレ女王も黙ったまま道化師を見ています。

家来は更に焦り、
「デンファレ女王！申し訳ございません！直ちに、処刑いたします！」
と、叫び道化師を連れて行こうとしました。

すると、女王が叫びました。

「死刑は無しだ！！」

一瞬、言葉の意味が分かりませんでした。
家来も道化師も、固まったまま動けません。

女王は続けます。

「なんだ？死刑を取り消してやったのだぞ。嬉しくないのか？」

家来と道化師は、あまりに急な出来事に喜んで良いのかも分かりません。
それに、本当なのかと疑ってしまいます。
しかし、デンファレ女王は笑顔で言います。
「死刑は取りやめだ！約束しよう！私は、この道化師を気に入ったのだ！！」

全く、意味が分かりませんがデンファレ女王はご機嫌なのです。

家来は呆気にとられました。しかし、死刑が取りやめになった事に安心しました。
道化師も、涙を流して喜びました。「神よ、感謝します！」と、叫びました。

しかし、デンファレ女王が発した言葉に、二人は固まりました。