○○地獄

2,恐いもの見たさ

ある日、デンファレ女王の城へ道化師が謁見を願ってきました。

城の者は、デンファレ女王に取り次ぐこともせず「絶対に駄目だ」と、頑なに拒否します。

道化という職業は、差別と偏見の対象。その代わりに、身分の高い者へ無作法な態度をとっても「野良犬が吠えてる」程度で許され、道化師を馬鹿にして笑いをとる仕事です。

各国の城の王達は、道化師をわざわざ招いて馬鹿をやらし、金をはらっています。

ただ、デンファレ女王の性格を考えると道化師なんて間違っても会わせてはいけません。
「道化師だから」という理由が通じるはずがありません。
城の者は、無駄な血を流させないためにも道化師に「絶対に駄目だ」と、言うのです。

しかし、道化師はデンファレ女王の噂を聞いて会いたくて仕方ない様子です。
「必ず、笑わせてみせます」と何度もお願いするのです。
デンファレ女王のお墨付きがもらえれば、この道化師の人気も跳ね上がるからです。

城の者が「命が惜しいなら帰れ」と脅しても「道化師の命なんて、有って無いようなもの」と引き下がりません。

「駄目だ」「会わせてください」の繰り返して城の者は疲れてきました。

城の者は「わかった。会えるかは分からないが上へ通す」と言いました。
道化師は喜び、必ずお墨付きをもらうと意気込みました。
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