○○地獄
道化師は大きく息を吸い込み、一人の男を指差しました。
「大きな鼻が茄子のよう、鈴虫さんには気をつけて♪」

男も周りも大爆笑です。確かに鼻が茄子に見えるからです。
道化師は続けます。今度は女を指差し歌いました。
「あらあら、どこにいるの?あっ、下にいた!つまずかれないよう気をつけて♪」

女と周りは、また大爆笑です。確かに、身長が低すぎる、と本人も愚痴を言ってました。

どんどん、指差しては歌っていきます。
馬鹿にされたのに、歌が上手なので笑ってしまうのです。
どんどん、どんどん、歌いながらデンファレ女王に近づいていきます。

家来は緊張しました。
「ついに来た!デンファレ女王には馬鹿な歌はするなよ!!道化師!!!」

家来は強く祈りました。

ついにデンファレ女王を指差し歌います。
道化師も緊張しているようです。
しかし、それ以上に周りも緊張です。
デンファレ女王本人は、ご機嫌な様子で歌を待っています。

「あらら!悪い所が一つもないよ、本当に人間?悪い人間にはきをつけて♪」

周りは安心して笑います。デンファレ女王は、確かに容姿が美しいからです。
家来も安心し「上手くやったな。さすがだ」と感心し拍手を送りました。
デンファレ女王本人も、嬉しそうに笑ってます。


しかし、道化師は続きを歌ってしまいました。

「悪い人間?悪人てどんなだろ?あら、わがまま女王も悪人だ。わがままには気をつけて♪」


今まで笑いと拍手が鳴り響き盛り上がっていたのに、一瞬で静かになりました。

周りの人の顔は真っ青で下を向いています。
家来にいたっては、倒れそうになっています。
道化師は、一瞬で空気が変わったことに驚きデンファレ女王を見ました。
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