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「よかった~!思い出してくれて。1週間前にまた東京に引っ越してきたんだ。俺そんなに変わったかな?俺、五十嵐のことは一瞬見てわかったのに!」
いや。相当変わった。小5の時は私より身長が低くて、女子みたいに可愛かった琉くんだったのに、今は私の背を余裕でこしてしまい、顔も小学校のときの面影がほとんどなくて、大人っぽくなっている。
「で、なんでこんな遅い時間に電車乗ってるの?」
・・・痛いところを突かれた。
本当のことなんて言えるはずがない。
『・・・琉くんこそなんで?』
「俺はね、仕事で!」
『仕事?』
「そぉ。モデルの仕事やってんだ。あ、でもその前に兄貴に弁当届けにこの電車乗ってんの。ちょうど次の駅。」
『そうなんだ。私も次だよ。』
「え?じゃあ五十嵐も東第一大学附属?」
『そうだよ。琉くんのお兄ちゃんも?』
「うん。そこの高3だよ。で、五十嵐は寝坊?」
あ、理由考えるの忘れていた。
『え?あぁ。じ、実はそうなんだよね・・。』
大丈夫、バレないはず。