大人の恋愛~背徳の行方~
螢は、子供が生まれた翌日、理に呼び出されて、居酒屋に来ていた。

「なぁー、土曜日から、梨桜、旅行にやらせるぞ!!」

「何!! 旅行って・・・なんでだよ!!」

「螢、今の梨桜の精神状態が、解らないのか!!」

「・・・・・・・・」

「梨桜はなぁー、ずっと苦しんでいるんだよ。真紀さんに子供が生まれた
 昨日、環と心配で、様子を見に行ったら、泣いてたよ・・・・
 あんなに泣いた、梨桜を見たのは、初めてだった。
 梨桜は、『別れなきゃって思うけど、別れられない・・・
 真紀さんは、子供を産むことを許されるのに、私は許されない。
 どうあがいても、私はこのままだと、自分が嫌いになるし、螢にも
 捨てられる・・・・』そう言って、泣いていたよ・・・・」

「・・・・・梨桜・・・・・・・」

「ここ最近、梨桜は、仕事でも、細かいミスが目立っているのを
 知らないだろう?」

「えっ・・・・梨桜が!?」

「あぁー、そうだ。あんなに慎重な梨桜が、些細なミスを連発していたんだ。
 環とも相談して、今は螢から離そうって!!事になって、今日、課長に
 休暇の申請をした。」

「ごめん・・・・そこまで追い込められていたなんて・・・」

「梨桜は、螢の前では、絶対に普通にしていたと思うよ。
 でも、本当は、ずっと傷ついていたんだよ。
 なぁー、螢、もう親になったんだから、梨桜を解放してやってくれ
 頼むよ!!」

「・・・・・・・俺は・・・・・・ダメな人間だな・・・・
 愛する女も、守れないのか・・・・・」

項垂れる螢に、理も容赦なく言い放った。

「とにかく、梨桜と別れてくれ!!!」
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