学園アイドルRTD
「お、お母さん部屋にいるね…」



しーん…

「メールも、電話も通じないから…

来たんだけど…。

なんかあった?」

「…。」

ありましたとも!

「…話して、くんね?」

「…」

「美玲、黙ってても…わかんない」

「…今日」

「え」

「用事あるから、会えないって…言ったよね…?」

「お、おう」

「私ね、日向とショッピングセンターに、行ったの」
「うん」

「楽しかったよ」

「うん」

「でもね、そこで何見たと思う…?」

「……!?」

「カフェで杏実さんと楽しそうに話す、

龍だった」

「それは」

「心配すんな…でしょ?

でも、

私、ずっと言わなかったけど、龍と付き合ってから、
ずっと不安だったの。

学園1のイケメンと付き合って、

誰かにとられるんじゃないかって…

龍が他の女の子に目移りするんじゃないかって…。



でも、そう思うたびに龍が、私だけだって言ってくれてたから、

幸せだった。


それは、嘘だったの…?」

「ちがっ」

「もう!

もう…龍のこと…信じられない…」

「!!」

「…。」

「美玲俺は」

「帰って」

「え…」

「帰って、下さい…」

「美玲」

「帰って!」


「…わかった…。」


龍はそう言って、

静かに帰っていった。

私は後から後から溢れ出す涙を止められなくて、

泣いた。



もう…終わりだ。

楽しかった日々…

嬉しかった日々…

龍太郎の笑顔…

龍太郎の真剣な顔…。


全部…終わりだ。

私が、終わらせたんだ。
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