学園アイドルRTD

お母さんside

「はぁ…。あなた、とうとうあの子を好きになる子が現れたわよ」

私は、

仏壇に飾られた遺影に向かって話始めた。

「早いわね〜…
あなたが死んでから、もう8年になるわ。

私もだいぶ強くなったと思わない?」

「…」

写真の中の彼は、

もう、何も答えることができない。

でも、

どうしようもなく寂しくなったら、

私は語りかけることにしている。

「きっと、心配で仕方ないでしょ?

大丈夫よ、あの子には、私が着いてる。

しかもね、びっくりしたわ。迎えに来てくれた子、

昔のあなたにそっくりだったわよ?」

そう言って、

龍太郎君を思い出した。

「顔は、あの子の方が上ね。

でも、性格は、あなたそっくり。

礼儀正しくて、

優しそうで…。

あの子なら、美玲を任せられそうよ。」

『本当かよ…(笑)』

「え!?」

今…

雷斗の声が…。

「気のせいよね…。

私の勘はよく当たるのよ?
だから、
2人のこと、優しく見守ってあげてね。

それと、

あの子が結婚の挨拶をしに家にきたら、

今度はあなたにも紹介するから、楽しみにしてて」


写真の中の雷斗が、

少しだけ笑ったように見えたのは、

気のせいだろうか。

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