遊園地
デート
疎遠なふたり
「おはよう!」
このひとことが言えない。
何度も何度も言おうとしたし、昔はスッと言えたのに。
自分がどんどん違う人になっていくみたいで、最近なんかイヤだ。
「茜ちゃ~ん、オハヨ」
今井比奈。あんまし好きじゃない。
というか大嫌い。
でも、みんなに聞こえるように挨拶をされていて、つまり何かしら返さないとまずい。
しょうがないから、今井比奈に向かってにっこりと微笑む。
「今日比奈ね~、宿題忘れちゃったの~。学校ついたら見せてもらっていい?」
誰だか知らないけど、ほかのクラスの友達を連れている。どっちも、今井比奈よりぱっとしない子だ。強引に連れて来られたんだろう。一対一より、断りにくくなると踏んで。自分の望みを通すことには素晴らしく長けていて、それだけはちょっとうらやましい。私には、それさえ出来ないから。
「ねえ、いい?」
くやしいから、出来るだけゆっくりと、ごくわずかに、うなずく。
伝われ。とびきりニセモノの笑顔は、大嫌いの証だって。
「ありがと~。助かったぁ。じゃーねー」
イヤな奴。
本堂茜って、ホントに嫌な奴。
210427-1
このひとことが言えない。
何度も何度も言おうとしたし、昔はスッと言えたのに。
自分がどんどん違う人になっていくみたいで、最近なんかイヤだ。
「茜ちゃ~ん、オハヨ」
今井比奈。あんまし好きじゃない。
というか大嫌い。
でも、みんなに聞こえるように挨拶をされていて、つまり何かしら返さないとまずい。
しょうがないから、今井比奈に向かってにっこりと微笑む。
「今日比奈ね~、宿題忘れちゃったの~。学校ついたら見せてもらっていい?」
誰だか知らないけど、ほかのクラスの友達を連れている。どっちも、今井比奈よりぱっとしない子だ。強引に連れて来られたんだろう。一対一より、断りにくくなると踏んで。自分の望みを通すことには素晴らしく長けていて、それだけはちょっとうらやましい。私には、それさえ出来ないから。
「ねえ、いい?」
くやしいから、出来るだけゆっくりと、ごくわずかに、うなずく。
伝われ。とびきりニセモノの笑顔は、大嫌いの証だって。
「ありがと~。助かったぁ。じゃーねー」
イヤな奴。
本堂茜って、ホントに嫌な奴。
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