遊園地
「あ~かねっ。やっほー」

「やっほう!」

なんやかんやと内側に思うところがあっても、教室に入ればふつうの中学生だ。

親友の亜美に言わせれば、「あっけらかんとしている」らしい。

首を一直角ぐらい傾げたくなるが、いつも一緒にいる子の意見だから一理あるのだろう。

さっきの自分と今の自分は、なんだかちぐはぐしていて疲れるなあ、なんて思いながら席に着く。

さっそく亜美がやって来た。

「イマイに会ったな?」

「うん。会った。」

「手ェ出さなかった?」

「……うん。」

「口も出さなかった?」

「……うん。」

「えらいえらい」

さっきの自分とは違う、ホンモノの笑顔でアタマをなでてくる。

(何で笑っていられるの?)

亜美は、今井比奈からいじめに遭っているのに。


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