遊園地
「アカネ。」

長老魔法使いは私のほうに向き直った。

「トキヤには、どうしても叶えたい願いがあるんだよ。そして、そのために魔法が欲しいと考えた。偶然、この遊園地に来ればその可能性があることを知っていてね。だが、ひとりではだめだと途中で気付いたんだ」

「どうして?瞬也なら……」

昔から探偵ごっこみたいなことは得意だし、捜し物も得意だったのに。

「それはね、魔法とは、複数の人間に対して与えられるものだからだよ。」

「複数……」

つまり二人以上ってことね。

「じゃあ、私たち、魔法を貰えるんですか?」

「そうだ。今はまだ、一つだけ。」

「それって、魔法つかいになれるってこと?」

「そう思いたければ思えばいいし、思いたくなければ思わなくていい。」

「それじゃ、どんな魔法を、くれるの?」

「大抵の問題は、これで解決する。魔法自体は簡単で、使い手の技量に頼らなくてすむ。そういう魔法だよ」

けっこう便利そうだ。

「ほんと!教えて教えて!」

長老はふふんと笑った。

「それでは、ここで一度使ってみるとよいな。」

長老は私にこそこそっと耳打ちをした。



210513-1
< 21 / 27 >

この作品をシェア

pagetop