遊園地
目の前に、長老魔法使いがいた。

目の前に、瞬也がいた。

「アカネの願いは7つ。トキヤの願いは3つ。」

長老は歌うようにいった。

「二人合わせて、合計10の願いがあると言いたいところだが……。

 実は、二人あわせて、7つだ。」

重複があるという。つまり、私の中で三つは瞬也の願いと重なっているというわけだ。

「ひとつはもう、わかっているだろう?」

いま、自分たちが見たものを。そこから何を得たか。

私の願いのひとつ。それは、

『瞬也と仲直りしたい』

ケンカしたわけじゃないから、どうにもできなかった。

でも、向こうだって、声かけようとしてためらったり、そういうことを、してたんだと思うと。

ああ、大丈夫だー、ってね。

昔から、瞬也の気持ちはよくわかった。

最近、わからなくなってた。

でもまた、感じるようになった。

私たちは、よく似てる。

私のほうが欲張りで、瞬也のほうが秘密があって、

それでもやっぱり、似てると思うから。

瞬也が手を差し出した。

私たちは、ハイタッチをした。

「これで、アカネの願いは6つ、トキヤの願いはあと2つだな。」

長老たちの声が、私たちを見送っていた。


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