遊園地
 作文というより本当に箇条書きになってしまったが、手紙のように各自が封筒に入れ、封をし、集められ、そのまま下校の流れになった。茜は急いで帰り支度をする。

「ゴメン、今日は先行くね」

「はいはい。私はこの暗号とにらめっこでもしてますよ。」

 1限が始まる前に書き写した紙をひらひらさせる。

「はは…明日になったら教えるから。じゃーね!」

 茜が教室から出るのを見送ると、今日は塾があるので、親にメールで連絡を入れる。

「亜美ちゃん」

 この声を聞くと、なぜかとてもがっかりする。ケータイを打つ手を止めた。

「……なに?」

「さっき暗号って言ってたでしょ。これ、借りたノートに夾んであったんだけど、何かなあ。」

 その手には、折り畳んだルーズリーフがあった。

 唇をかむ。茜の不用心!

「返して。それ、茜のだから」

「茜ちゃんのだから、なあに?」

「私から返しておくから」

「私から返してもいいんじゃない?」

 亜美はため息をついた。じゃあわざわざ私に言うことないのに。

「それでいいんじゃない?」どうせ、茜には内容がわかっているのだからもう用のないものだろうし。解読できそうにもないし。

「亜美ちゃんのそういう、やれやれってカオ、すっごくキライ」

「…そう。」

「私、解いちゃうかもよ?コレ。」

 じゃあね、と言われ、ぼーっと見送った後で、しまったと思う。

 急いで廊下を渡り、靴箱を開ける。

 まただ。靴がない。

 亜美は再びため息をついて、教室に戻っていった。


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