遊園地
 比奈は亜美と同じ塾に通っていた。昔から、家も近い。

「亜美ちゃんにだけは負けちゃだめよ」

 そう言われて育ってきた。

 今日はテストがあるけれど、たぶん亜美は遅刻をして塾長に怒られるだろう。

 亜美と同じく、親にメールで連絡を入れながら、暗号について考える。

 数字だった。数学もパズルも苦手だけれど、亜美はまだわかっていないようだ。

 それなら、先に解きたかった。

 ふと、塾へ向かう足を止める。

 ケータイをじっと眺めた。

 ……そういうこと!

 比奈は、塾とは別の方向へ向けて歩きだした。


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