Voice
 
 
目の前に吐き出される見覚えのある吐瀉物。
全てを吐き出そうと水を飲み滑りをよくしてまた吐き出す。危険の孕んだこの行為は、恋を失う度に行われてきた。


体液に混ざる水しか吐き出せなくなると、すっかり体力を消耗して便器に寄りかかりながら眠ってしまう。

酔っぱらいのような自分の状況に泣いてしまったのも一度や二度じゃない。

――繰り返される失恋のループ

原因も自覚してはいるのに、それでも高いプライドを保つ為のループから逃れられない。

泣きながら吐いた後、その場から動けずに、目を覚ました時には小さな窓の隙間から夕焼けの赤い空が微かに見えていた。

真っ白な壁は赤い色に染まり、太陽はゆっくりと別れを告げている。


 
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