ホストの居る公園のあ・た・し
あたしが、そう思いながら視線を落とすと、
ベンチの下には、さっきあたしが落とした本が落ちている。



その本のタイトルが視界に入ったかどうかで、
あたしはふと思いついたように視線を上げ、
男の子の顔を見つめて、少しだけやさしい口調で語りかけてみる。




「ねぇ、あなたのいうお客さんの心を掴むって何?」




そう聞くあたしに、男の子はたどたどしく答える。




「…その、たとえば、

僕の説明に聞き入ってもらえたりとか、

それで、

お客さんに商品を気に入ってもらえたりとか」
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