恋は風のように【短編】
恋は風のように
その日は、とても美しい快晴だった。
髪の間をぬって駆け抜けて行く風が心地よくて、思わず目を瞑る。
高校生デビュー初日、ヒラヒラと桜も待っていた。
そんな時だった。
「あぁっ……!やっと見っけたーっ!」
後ろから、慌ただしい声が聞こえたのは。
「ちょっ、そこの子!そこの方!止まって、まってってばー!」
そこの子?
そこの方?
一体誰のことを呼んでいるんだろうと思いつつ、まさか自分が呼ばれているだなんて気づきもしなかった私は声をシカトして歩き続ける。
「えぇ、止まってくんないの!?おぉーい!」
騒がしいなあ、なんて思っている矢先だった。