恋は風のように【短編】
ポンッと肩を叩かれて驚いた私は、「わっ」なんて小さな声を発して足を止める。
「君だよ、君。よく周りを見てみてよ、他に人、いないでしょー?」
振り返って見れば、そこには息を乱して私の肩に手を置く少年(と、言っても私と同年代くらいの人だけれども)。
言われた通りに辺りを見回してみれば、なるほど確かにこの道には私しかいない。
「あ、あの……?」
戸惑いを含めて少年を見れば、「ね?」とひとなつっこそうな笑顔が返ってきた。
よくよく見れば同年代に見えるのに、"少年"と表したくなるのは、きっとこの笑顔のせいだと思う。