恋は風のように【短編】


「俺、君のことずっとさがしてたんだ。……いきなり話し掛けておいて悪いんだけどさ」



びっくりした?なんて問い掛けに首を縦に振りながら、私は少年をじろじろと見た。


……相手は私のことを知っているようだけれども、私は相手のことを知らない。


……と、思う。


どこかですれ違ったのだろうか。


それで私が物を落として、この少年が拾って……いや、でも少年が物を出そうとする雰囲気はまるでない。



「私に、何か用ですか?……申し訳ないんだけれど、私、貴方に会った記憶がなくて」



そう言えば、相手はピシッと固まった。


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