恋は風のように【短編】
そう言って踵を返そうとしたら、
「あっ、まって!」
焦ったようなケイタの声。
ピタと動きかけた足を止めて、ケイタを見る。
「俺、次会ったら言おうって決めてたんだ」
「………え?」
真剣な表情でいるのに、頬に少しだけ赤みが差したケイタに、私はまたもやドキッっとした。
思わず胸の辺りでぎゅっと両手を握り、言葉の続きに耳を済ます。
「――――…………好き」
驚き過ぎて、声が出なかった。
「え?」という聞き返す言葉さえも、ノドがピッタリとくっついてしまっていて出てこない。