orders!
『…、』
横顔が格好良いなぁとか、目が好きだなぁとか、そんなことを思って洸ちゃんの横顔を見つめていた。
すると不意に、こちらを向いた黒い瞳。
『……?』
『……、』
顔は徐々に距離を詰めて、唇が触れかけた。
『っ……いやっ!!』
キスする、そう思った瞬間、どうしてか私は拒んでしまった。
『……あ……』
『……悪い』
びっくりしたのもある。心の準備が出来ていなくて、その気持ちがわからなかったのも、ある。
けれど言い訳の言葉ひとつすらその時の私の口からは出ることがなく、以来洸ちゃんは二人でいることを避けるようになった。
部屋にも入れてくれなくなって、私が近づくのを嫌がった。それまでの距離が嘘のように、離れてしまった。