風俗嬢葉月
着替えを済まし、髪、メイクを整えていると着信があった。
「もしもーし」
「葉月さん、ご予約のお客様がこられましたので事務所まできてください」
「はい、わかりました、ありがとうございます。失礼します」
「はい、失礼します」
これは事務所にお客様が来店されたことを知らせる電話。
今からお客様はホテルに行き、ホテルの部屋番号を伝えるためにもう一度事務所に電話する。
その部屋番号を教えてもらってからがお仕事スタートだ。
着信があってすぐに待機室を出ると、事務所までの道のりでお客様と会ってしまったり、部屋番号が出るまで事務所で待たなければいけないので、わたしは着信があってから5分は待機室を出ないことにしている。
ただ実際はお手洗いに行ったり、歯磨きをしたりでなんだかんだ10分を超えてしまうことはよくある。
待機室をでて事務所に向かう。
事務所は3階なので行くためにエレベーターに乗らなければならないが(階段はない)、このエレベーターを待つ時間がわたしは一番嫌いだ。
誰に会うかも、誰に見られるかもわからないこの時間が。