ストロベリーショートケーキ
完全に混乱しきっているあたしに、ふと、店員さんが視線を向けた。



「……あら、ちょっと、要くん、この子あの……!」

「……うん」

「え、まさか、もしかして?!」

「……うん」



食い込み気味な店員さんの言葉に、無表情のまま、こくり、うなずく花井くん。

『うん』って、なにが?! なにが『うん』??!

ますますテンパるあたしを尻目に、キャーッ!と興奮した声をあげた店員さんが両手を頬にあてた。

そしてさらに、店員さんはテンション高く花井くんの背中をバシバシと叩く。



「あらあらまあまあ!! よかったじゃない要くん!! あっ、とりあえずお水持ってくるから、そこらへんに座っててちょうだい!」



言うが早いか、店員さんはそそくさとカウンターの奥へと消えた。

「あなたちょっと~!!」なんて声が、向こう側から思いっきり聞こえてくる。



「……佐倉、そこの席、座って」

「え、あ、うん……」



……とりあえず、あたしたち以外たまたまお客さんがいなくてよかった気がする……。
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