ストロベリーショートケーキ
「ねぇ花井くん、ここが“先生”のいるところなの?」

「そう」



おずおずと訊ねたあたしに、花井くんはいたって変わらない調子で応える。

う~ん、こんなラブリーなところに、彼の喧嘩のお師匠さんが来るのだろうか。

そわそわ落ち着かず店内を見回していたあたしの前に、すっと、何かが差し出された。



「とりあえず、飲み物とケーキなんでもいいから頼みなよ」

「あ、うん……」



目の前にあるメニュー表を、あたしは花井くんから素直に受け取る。

だって状況がなんにしろ、あたしはこのお店のケーキが大好きなわけで。

せっかくこうして来たからには、やっぱりそのとびきりおいしいケーキたちを堪能したかったのだ。



「ええと、飲み物はストレートティーのホットで……ケーキは、イチゴのショートケーキがいいな」

「……わかった」



そう言って彼は椅子から立ち上がり、なぜか先ほどの店員さんと同じように、カウンターの奥へと消えてしまった。

すると入れ替わるように、今度は白いコック服を来た男の人が、片手にお水を持って、こちらに向かってくる。

って、あの人はたしか、ここの店長さんじゃ……。

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