ストロベリーショートケーキ
「やあやあこんにちは! 君が『イチゴショート』の子だね!」
「へ、」
顎髭を蓄えたその人は持っていたお水をテーブルに置くやいなや、快活に笑いながらあたしの右手をとってブンブンと振る。
そして「おっとそうだ、」と何やら呟くと、あっけにとられるあたしを置いたまま1度出入り口のドアを開けて、すぐにまた舞い戻ってきた。
「いや~、他のお客様が来ちゃうとゆっくり話せなくなっちゃうからね。プレート【CLOSE】にしちゃった!」
「え……っ?!」
席を立ちにわかに慌てるあたしを「いいからいいから」と制して、また椅子に押し戻す。
そうして店長さんは改めて、あたしに右手を差し出してきた。
「ようこそ、【パティスリー ペタル】へ。僕が店長の、花井 隆一です」
「あ……っ」
微笑む彼に応えようと、あたしも笑みを浮かべてその手をとる。
「えと、佐倉 燈子です。……あの、『花井』って、もしかして……」
そこで店長さんは、さらに笑みを深くする。
「うん、僕は、要くんのお父さんの弟――つまり要くんにとっては、おじにあたるんだ」
「おじ、ですか……」
「彼は僕にお菓子作りを習いに、よくここへ来ていてね。お店の手伝いも、してくれているんだよ」
「え……」
ええっ!!? 花井くんが、お菓子作りを?!
寝耳に水、なその話に、あたしは思わず目をまるくしてしまう。
な、なんだか、彼の数々のウワサのことを考えると、ものすごく意外だ。
……でも、そっか、だから、『先生』……。
「へ、」
顎髭を蓄えたその人は持っていたお水をテーブルに置くやいなや、快活に笑いながらあたしの右手をとってブンブンと振る。
そして「おっとそうだ、」と何やら呟くと、あっけにとられるあたしを置いたまま1度出入り口のドアを開けて、すぐにまた舞い戻ってきた。
「いや~、他のお客様が来ちゃうとゆっくり話せなくなっちゃうからね。プレート【CLOSE】にしちゃった!」
「え……っ?!」
席を立ちにわかに慌てるあたしを「いいからいいから」と制して、また椅子に押し戻す。
そうして店長さんは改めて、あたしに右手を差し出してきた。
「ようこそ、【パティスリー ペタル】へ。僕が店長の、花井 隆一です」
「あ……っ」
微笑む彼に応えようと、あたしも笑みを浮かべてその手をとる。
「えと、佐倉 燈子です。……あの、『花井』って、もしかして……」
そこで店長さんは、さらに笑みを深くする。
「うん、僕は、要くんのお父さんの弟――つまり要くんにとっては、おじにあたるんだ」
「おじ、ですか……」
「彼は僕にお菓子作りを習いに、よくここへ来ていてね。お店の手伝いも、してくれているんだよ」
「え……」
ええっ!!? 花井くんが、お菓子作りを?!
寝耳に水、なその話に、あたしは思わず目をまるくしてしまう。
な、なんだか、彼の数々のウワサのことを考えると、ものすごく意外だ。
……でも、そっか、だから、『先生』……。