ストロベリーショートケーキ
「許可を出したって言っても、とりあえずは、飲み物全般とケーキ1品目だけ」

「え……」

「それが、イチゴのショートケーキなんだよ」



そう言って、やわらかに微笑む店長さん。

き、厳しいんだなぁ、パティシエの世界って……。

そんなことを考えていたあたしに、そこでぐっと、店長さんが身を乗りだしてきた。



「そしてね――……その、要くんが作った売り物用の最初のイチゴショートを食べたのが、トーコちゃんなんだよ」

「……え……」



イタズラっぽく言われたそれに、一瞬、固まってしまった後。



「……ええっ??!」



あまりの衝撃に、あたしはつい大声を出してしまう。

店長さんは完全に意表をつかれたあたしの反応を見て、満足そうにまたにっこりと笑みを浮かべた。
< 18 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop