ストロベリーショートケーキ
「ふふふ」
「……笑うな、佐倉」
そう言って、拗ねたように口もとを右手で隠した花井くんは。
「――いや、」
「ん?」
「……やっぱ、笑ってて」
言いながら不意に、あたしの右手をとって。
彼の大きな手が、指にからむ。
「ッ、」
「……佐倉の手、ちっさい」
……ずるい、花井くん。
そんな、いとおしそうな目で見られたら。
からかってたはずのこっちが、困っちゃうよ。
「佐倉、顔赤い」
「……もぅ、花井くん、いじわる……」
「はは、」
ねぇ花井くん。今あたし、すっごく胸が、あたたかいよ。
たくさんの幸せを生み出す君の手は、まるで魔法みたい。
『……もうね、たまらなくなっちゃったんだって』
店長さんが教えてくれた花井くんの話は、あつあつの紅茶に入れた角砂糖みたいにじわりとしみて、そして溶けた。
平凡でフツーな自分は、やっぱり平凡でフツーな毎日を送っていたのに。
――あたしを見つけてくれて、ありがとう。
「……笑うな、佐倉」
そう言って、拗ねたように口もとを右手で隠した花井くんは。
「――いや、」
「ん?」
「……やっぱ、笑ってて」
言いながら不意に、あたしの右手をとって。
彼の大きな手が、指にからむ。
「ッ、」
「……佐倉の手、ちっさい」
……ずるい、花井くん。
そんな、いとおしそうな目で見られたら。
からかってたはずのこっちが、困っちゃうよ。
「佐倉、顔赤い」
「……もぅ、花井くん、いじわる……」
「はは、」
ねぇ花井くん。今あたし、すっごく胸が、あたたかいよ。
たくさんの幸せを生み出す君の手は、まるで魔法みたい。
『……もうね、たまらなくなっちゃったんだって』
店長さんが教えてくれた花井くんの話は、あつあつの紅茶に入れた角砂糖みたいにじわりとしみて、そして溶けた。
平凡でフツーな自分は、やっぱり平凡でフツーな毎日を送っていたのに。
――あたしを見つけてくれて、ありがとう。