ストロベリーショートケーキ
「……そんなことないもん」



彼女の言葉に思わずそんな反論が出たのは、真剣な気持ちでお菓子を作る花井くんのことを知っているからだ。

ちょっとだけ唇をとがらすあたしの顔を見ながら、笑花が今度は、腰に手をあてて仕方ないなぁって感じのため息をつく。



「……トーコがそう言うなら、私はこれ以上何も言わないけどさ。でも絶対、何かあったらすぐ私に言うんだよ?」

「……うん、ありがと」



きっと笑花、あたしが花井くんと付き合うって話をしてから、ずっと心配してくれてたんだろうな。

でもあたしが何も言わないから、あれから数週間が経っても、我慢して聞かないでくれていたんだろう。

やさしい親友の心遣いがうれしくて、あたしは笑顔でうなずいた。



「……バカじゃねーの」



と、そこで失礼な言葉が飛んできて、あたしは顔をそちらに向ける。

見るとそこには、なぜだか険しい表情をした安達の姿。



「……安達」

「あんな不良ヤローに騙されちゃって、ほんとトーコってバカ。そんなん全部嘘に決まってんだろ」

「はあ?!」

「ちょっと安達、何言ってんの?」



思わず声を荒げたあたしに代わって、笑花も眉を寄せて呆れたような言葉をかける。
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