ストロベリーショートケーキ
「……佐倉? どうかした?」

「えっ?!」



訝しげに掛けられた声に、あたしはハッとして顔を向けた。

そこにはやはり、こちらを気遣わしげに見ている花井くんがいて。

なんでもない、と、あたしは笑顔を返す。



「……そう?」



あまり釈然としない様子ながらも、花井くんはまた自分の手元に視線を落として。

あたしは心の中で、こっそりため息をついた。


──ここは、人気のない中庭近くのベンチ。

一緒にPatisserie Petalに行った次の日から、あたしたちはここでお昼を共にしている。

屋上や中庭の方が、ランチスポットとしての人気は高いんだけど……やはりというかなんというか、花井くんは良くも悪くもまわりの人の視線を集めてしまうので、なかなか人通りのないこの場所に落ち着いたのだ。
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