ストロベリーショートケーキ
そしてあたしが不本意にもぼんやりしてしまっていた理由は、先ほどの安達の件で。

どうしてクラスメイトのことで花井くんといるときに考え込まなければならないの、と、またため息をつきたくなってしまった。


そんなあたしの心中を知ってか知らずか、花井くんはそこで、ごそごそしていた手元から顔を上げる。



「……はい、佐倉。今日のデザート」

「あ、ありがとう！」



そう言って、渡されたものを受け取る、と。



「わ！　プリンだっ！」



自分の目線に掲げてみたそれは、プラスチックの入れ物に入った、花井くんお手製のプリン。

１番下にはカラメル、真ん中は綺麗な薄黄色の生地で、上には白いクリームが乗っている。

一緒に手渡されたスプーンで一口すくって、そっと口に入れた。



「……！！　おいしいっ！　花井くん、めっちゃおいしいよ～！！」

「よかった」



ジタバタ身体全体で感動を表現するあたしに、花井くんはほっとしたような様子で小さく微笑んだ。

そして自分の分のプリンも、保冷バッグから取り出す。
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