ストロベリーショートケーキ
「………」



すると、それまで無言であたしの様子を見ていた花井くんが、スッとこちらに右手を伸ばしてきた。

あたしはびっくりして、そのまま固まってしまう。

そして自分の左頬に、ぷに、とした感触。



「……は、はにゃいくん?」

「そう? 俺は、別に今のままでも佐倉は痩せてる方だと思うけど」

「へ、」



ぷにぷに。彼はあたしの頬を、さらにかたさを確かめるみたいにつまむ。

あたしはというと、突然の彼の行動に、全く思考がついていけてなくて。

ぼっと、熱が出たみたいに、一気に顔が熱くなった。



「……あ」



その反応を見た花井くんは、あたしの頬に触れていた手をすぐに引っ込めた。

少しだけ気まずい空気が、ふたりの間に流れる。
< 32 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop