ストロベリーショートケーキ
――それから、数日が経ったある日。



「世界史って、今日小テストやるんだっけ?」

「えーっとたしか、まだ習ってないとこあるから次回じゃない?」

「あー、そっかぁ」



そんな何気ない会話をしながら、移動教室の帰り笑花と廊下を歩いていると。

なんだか向こう側の廊下が騒がしい気がして、思わずそちらに視線を向けた。



「なんだろ?」

「さぁ……」



言いながら、人だかりができている方向へとふたりで近づいていく。

すると、まわりより頭ひとつ飛び出た男子生徒の後ろ姿が見えて。



「えっ、ちょっとトーコ、あれって……!」

「……!!」



きゃあっと、どこかから女子生徒の悲鳴のようなものが聞こえる。

ちょうど人波の隙間から見えたあたしの視線の先では、後ろ姿の彼――花井くんが、なぜかあたしのクラスメイトである、安達の胸ぐらを掴みあげていた。
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