ストロベリーショートケーキ
「ッ、おい、待てよ……っ」



歩き出そうとした俺の肩を、安達が少し強めに掴んで振り向かせようとする。

とっさのことに、俺は思わずよろめいて、すぐ横にあった窓に身体を打ちつけた。

ざわ、と、まわりにいた生徒たちが、にわかに騒ぎ出す。



「……ッハ、だっせぇ。んなでかい図体して情けねぇな」

「………」



鼻で笑う安達に、俺は無言の視線を送るのみで何も答えない。

そんな俺の態度に、安達はさらに苛立ったようだった。



「なんだよ、その目。……おまえがおまえなら、トーコもトーコだ。なんでこんな、危ない奴と……」

「……ッ、」



その、瞬間。

俺は無意識のうちに、安達の胸ぐらを掴みあげていた。

きゃあっとどこかで誰かが、悲鳴をあげた声が耳に届く。
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