ストロベリーショートケーキ
花井くんと、安達のあれは――……あたしの、せいだ。

あたしが、きっと自分でも気づかないうちに、安達の機嫌を損ねるようなことをしてしまっていて。そこからきっと、彼氏である花井くんに矛先が向いてしまったんだ。

あたしの、せいで。花井くんは、あんな――。



「さ、くら……?」



手当てを終えた花井くんが、目の前のあたしの顔を覗き込んできたそのとき。

それまで堪えていた涙が、ぼろぼろと流れてきた。

花井くんが、驚いた表情でこちらを見つめている。

あたしは彼の指先に触れていた手を離して、自分の顔を隠すように、両手で覆った。



「……ぅ……っ、」



止まれ。止まれ。

強く思えば思うほど、涙は後から後から溢れ出てくる。



「……佐倉……」



あたしの名前を呟いた彼が、ためらいがちに、そっと頭を撫でてきた。

ゆっくり、ゆっくり。こわれものを扱うように彼の手が行き来する。

――ああ、花井くん。逆効果だよ、それは。


相変わらず、流れ出る涙は見せないようにしながら。

あたしはようやく、口を開いた。
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