TABOO~それぞれの秘密~
慌てて飛び込んだのは会社近くの居酒屋。
タクシーを降りて走っても遅刻は間違いない。
同期の結婚退職を祝う会には大勢の同期が集まっているはず。
ハイヒールの音を軽快に響かせ店内に入ると、店員さんが座敷へと案内してくれた。
会が始まって既に一時間。
同期達の顔はほどよく赤く、ほろ酔い気味の会話が耳に入る。
「遅れてごめんね」
そう言って近くの座布団に腰を下ろすと。
「彼氏のお見送りでしょ?なんなら今日は欠席でも良かったのに」
今日の主賓である彼女が笑顔を向けてくれた。