TABOO~それぞれの秘密~
久しぶりに訪ねた私を見ても、宗くんは驚いた顔も見せず、予め用意していたように
「誰を傷つけても可奈が欲しい。
あの頃の未熟なままのガキじゃないから、俺と結婚してくれないか?」
「私、明日が結納なの」
「俺は、来週だ」
その現実に震え、涙が止まらない私
宗くんは何かを吹っ切ったように抱きしめてくれた
他の男性と結婚が決まっている私が、その胸の温かさに浸る事が罪だとわかっている
結婚を心待ちにしている二人の両親の悲しみや、お互いの恋人の人生を狂わせるに違いない身勝手な我儘だとも、わかっている