TABOO~それぞれの秘密~

「それでも、宗くんが欲しいの」

「ああ、俺も可奈が欲しい。忘れるために他の女と結婚しようとしたけど、苦しいだけだった。もう、嘘はつけない……10年待たせて悪かった」

「ううん……ううん……」

抱きしめあって、気持ちを寄せ合って、嬉しくないわけじゃないけれど

これからを思うと苦しみしか感じられない

きっと、私達を責める言葉の刃に刺され、体中が痛みに満ちる中で謝罪を繰り返すんだろう、と簡単に想像できる

けれど、この宗くんの温かさが私のものになるのならば、全てを受け止める覚悟を決めよう

抱き合いながら、ふと顔を上げると宗くんの向こう側から差し込む月明かりに気づいた

心もとなく微かに揺れるその光は

『二人とも、ちゃんと幸せになっていいんだよ』

私達を未来へ導いてくれる招待状のようだった



fin

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