TABOO~それぞれの秘密~
探るような声。
「はい、お揃い、嫌いみたいです」
小さな声で答え、俯いた。
「最近、指輪もしてないけど喧嘩でもした?」
「いえ、喧嘩するほど会ってなくて」
私がマラソンを始めて以来、恋人との距離が広がった。
休日も会わない、電話とメールのみの関係。
「じゃあ俺が彼氏と喧嘩してもいいか?」
「え?」
「ハーフマラソン、一緒に出ないか?ただ、遠いから泊まりになるんだ」
「泊まり……」
「その意味、わかるな?絢が俺と行くなら、彼氏には俺が話をするし頭を下げてでもお前を手に入れる。それに、もう大会のエントリーは済んでる」
「春さん……」
「予約注文するほどその時計を欲しがったのは、俺とお揃いだからだろ?」