TABOO~それぞれの秘密~
「好きって言って欲しいなら、俺が何度でも言ってやる」
「もっと早く言って欲しかった」
大学時代から好きだった進には、大企業の社長という未来と、親に決められた婚約者がいて諦めるしかなかった
今更私をヘッドハントして秘書として側に置くなんて
「遅いよ。どれだけ私が進を好きで泣いて。どんなにつらい思いで諦めたか」
写真を握り潰し、溢れる涙を我慢する
進を諦める為に、私を好きだと言ってくれた彼に縋ってきたのに
「今更、ずるい」
進は、俯き涙する私を抱きしめて
「悪かった。勇気がなかったんだ。でも愛する女と一緒になる事がどれだけ幸せな事かって、元婚約者と親友に教えられて目が覚めた」
「進……」
「もう、卯月を手放さない。無理矢理転職させて側に呼んだのもあんな男に渡したくないからだ」
その言葉が夢じゃないかと視線を上げると、愛しい光が私を見つめる
「私も、離れたくない」
閉じ込めていた気持ちを解放して呟くと
進の弾ける笑顔と、窓から差し込む光
彩りの春が私達を祝うように、柔らかく揺れた
fin