竜の唄
「どうだ? お前のお眼鏡にはかなったか?」
誰もいないはずのそこに話しかけるリアス。
すると、先ほどまでリアスが腰かけていた横の空間がゆらりと揺らぎ、その場に木製ベンチに腰かけた長い銀髪の女性が現れた。
こちらもにやりと意地の悪い顔をして、リアスの問いかけに髪と同じ色の目を細める。
「そうね。あの男の子ならあの子とでも組めるんじゃないかしら」
「そりゃあよかった」
「ずば抜けた身体能力ね。あと、なんだか不思議な雰囲気だわ」
「そうか?お前だからわかるモンがあるのかもな、イヴ」
そう言って女性、イヴの横に戻り、どかっと腰かけたリアスは、先ほどまでイアンらがいた場所を嬉しそうに眺めた。
それを見たイヴはにやにやと口元を緩める。
「相当お気に入りね?」
「そりゃあ自分で見つけてきた逸材だからなー。これまた懐いてくれてるし」
「あなたに懐いてるのはあの男の子だけじゃないようだけど」
「まあな!なんたってリアス様だからな!!」
「はいはい」
慣れたように流したイヴは、ベンチから立ち上がって傍らのリアスを見下ろした。
対して見上げることになったリアスは、装飾された白い天井を背景にした彼女の真剣な顔に、こちらも笑みを引っ込める。
天井からいくつかぶら下がるランプが、ジジ、とかすかに音をたてた。